ワークウエアらしい王道のディテールを持つブルーデニムワークパンツ（Lot No. SC41822）をベースに、シュガーケーンが資料として所有しているヴィンテージのペインターパンツに施されていたダメージやリメイクを落とし込んだモデル。古着の所有者が着用を続けるなかで「破れたら直す」をその都度行っていたため、リペアの方法や補強に使われている生地も箇所によって異なり、長年を経て形成された魅力的な一本をリアルに再現した。

 

このようなリメイクを行う際、5ポケットジーンズであれば脇の地縫いを一度ほどいてリペアするのが比較的容易な方法であるが、こちらのワークパンツは3本針でしっかりと巻き縫いされており、縫製をほどかずに筒状のまま作業を行うので、リペアにはより高度な技術を要する。ワークパンツのリメイクが5ポケットジーンズより圧倒的に少ないのは、このような理由が関係しているのかもしれない。

 

長年の使用を経て生じた破損に手を加え、元の状態に戻そうとするのではなく、新しい表情で使えるように繕うことで魅力を増していく。このような一本には、日本の「襤褸（ぼろ）」や「金継ぎ」にも通ずる美しさを感じることができる。

 

 

 

負荷のかかるヒザや、腰ポケットの袋地の底が当たる部分はダメージが激しい。補強の生地は、ヴィンテージワークウエアにみられる複数のストライプ生地を使い分けている。リメイク箇所の多いフロントに対してバックは大人しめ。生地へのダメージが数カ所ある程度にエイジング加工を抑えている。

 

 

 

フロントのトップボタンはブランドの刻印入り。フライボタンは無地の黒塗装ドーナッツボタン。どちらもヴィンテージでは珍しい首振り仕様となっている。左脇にはワークパンツらしくハンマーループを装備。右脇にはツールポケットが設けられ、ポケットにはサイズチケットが付く。ヴィンテージでは外されていることも少なくないサイズチケットだが、良い風合いになって残されている。ヒップポケットは表布と当て布の縮率の差によるパッカリングが美しい表情に。

 

 

 

向布を利用して作られた、ワークパンツならではの合理的なコインポケット。ブランドのアイコンである機関車をモチーフにしたプリントネームはかすれ、風合いを増している。生地と共色でリペアされているベルトループにも注目してほしい。そしてそのベルトループの左側にある糸の塊は、裁断時に取り付けられた「カッタータグ」を縫い付けた跡。ヴィンテージにみられるディテールを細部まで再現している。

 

 

 

右膝上のリペア部分は、ピンストライプ生地を裏から当てて青糸でミシンがけしている。右膝にはエクスプレスストライプ生地を使用。ステッチはグレー。

 

 

 

左腿部分はコードストライプ生地を裏から当て、太番手の糸で縫製している。左膝は、右膝とピッチの異なるエクスプレスストライプ生地を使い、ライトグレーの糸でガチャ縫い。このように当て布はすべてインディゴのストライプ生地であり、身頃の11オンスデニム生地と相性が良く、さらには当て布部分のインディゴの褪色にも期待できる。

 

 

TOYO ENTERPRISE ONLINE STORE / Lot No. SC41822R / SUGAR CANE 11oz. BLUE DENIM WORK PANTS AGED MODEL

東洋エンタープライズ公式オンラインストア / シュガーケーン 11オンスブルーデニムワークパンツ エイジドモデル