Lot No. US15489 / UNION SUPPLY 千筋 SENSUJI SHIRT BLOUSE

TEXT：　サンサーフ企画総括・アロハシャツ研究家中野喜啓（YOSHIHIRO NAKANO）

パラカやアヒナ（ハワイアンデニム）と並び、日系移民たちが作り上げたハワイアンワークウェアの文化のなかで忘れてはならない生地がある。それが「大名縞、または千筋（せんすじ）」と呼ばれるストライプ生地。これらも移民たちの過酷な労働からニーズが生まれ、ヘビーデューティーかつしなやかな生地を提供すべく、日本で生産され、ハワイに輸出されていた。その歴史は古く江戸時代まで遡る。贅沢が許されなかった時代において、様々な制約のなかでオシャレを楽しむ「粋（いき）」という文化から生まれたデザインで、三重県の松阪木綿をルーツに持つ。大陸から招かれた紡績の技術者たちが持ち込んだ高度な機織り技術により、松坂は日本を代表する紡績の街となっていった。また、作られた生地を扱う問屋も集まり、江戸に販売拠点を置くことにより彼らのビジネスはさらに加速。多くの成功をおさめた。その代表格とも言えるのが、後の三越百貨店と松坂屋である。松坂木綿の特徴でもあるストライプのデザインは、当時500種類以上のバリエーションがあったと言われ、庶民の生活にも浸透していった。