タイプA-11は第2次大戦時に米陸軍航空隊が採用した腕時計で、当時はブローバ社、エルジン社、ウォルサム社がそのコントラクターであった。戦闘機の計器類同様に深いブラックダイヤルに刻まれたホワイトのアラビア数字は必用最低限のデザインであり、非常に高い視認性を誇っている。また、グローブを装着した状態でも操作を容易にする大きめのリューズや、傷を目立ちにくくするコインエッジのベゼルなど質実剛健なディテールも見逃せない。ベルトは当時の軍服などにも使用されたコットン生地で、ベルトバックルの調節用に施された細かい刺繍アイレットが古式ゆかしい仕様である。操縦桿を握る飛行士達にとって正確に時を刻む腕時計はミッション遂行に不可欠であり、極小の戦闘装備品であった。